2013年8月27日火曜日

表現の自由と教育



非喫煙運動の推進団体であるNPO法人「日本喫煙学会」が現在公開中の日本を代表するアニメクリエーター宮崎駿の最新作『風立ちぬ』に要望書を提出したことが物議を醸しています。要望書の内容は、映画の喫煙シーンに対する苦言で「未成年の喫煙を助長するおそれがある」とタバコの描写に対して留意するように述べています。
しかし、映画の舞台となっているのは第二次世界大戦前の昔であり、過去のデータでは男性の喫煙率が84%にものぼるという時代でした。ネットではこの要望書について「映画の世界とリアルの世界を一緒にするな」と表現の自由を規制することに対する批判の声が続出しています。有名な脳科学者の茂木健一郎さんはtwitterで「禁煙を推進したい人は、自身で広報活動、Public Relationsに精を出せばよい。誰もそれを止めない。しかし、他人が作った映画の表現、違う時代の場面の描写にまで口を出す権利があると思うのは、勘違い。禁煙ファシズムだと言われても仕方がない」と非難しています。
島根県松江市の教育委員会が「はだしのゲン」という原爆の恐ろしさを伝える有名な漫画を「描写が過激である」として児童に貸し出し禁止を学校に要請していたことが同じく非難を集めています。
私自身、小学生のころに学校の図書室でこの漫画を読み、原爆の恐ろしさを学びました。確かに残虐なシーンの多いマンガではありますが、だからこそ戦争の悲惨さを学ぶことができました。日本人なら誰もが知っている有名な作品ですが、日常生活の中でもっと描写の過激なマンガや情報などいくらでもあり、松江市の教育委員会の判断はおかしいと言わざるを得ません。
教育という言葉の名の下に表現の自由が狭まってしまうことはとても恐ろしいことです。行き過ぎた教育で子供たちを保護しても、悪い情報にただ目隠しをしてきただけで、正しい判断のできる子供が育つとは思えません。
何が正しい情報なのかを判断できるような教育がそれよりも必要なのではないでしょうか。

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