2013年5月17日金曜日

L.A.ギャングストーリー【シネマレビュー】

2012年 アメリカ
監督:ルーベン・フライシャー
キャスト:ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、ショーン・ペン、エマ・ストーン

個人的得点:30点



「何かかっこいい作品を」と高校生に脚本書かせたらこんな感じの映画になるんじゃないかなと思えるような久しぶりのクソ映画でした。
 題材はいいのにもったいないな。スコセッシかコッポラ監督にでも撮らせたらまったく別物になっていただろうなと思います。

ショーン・ペンの演じるミッキー・コーエンが見たいだけで観ましたが本当にそれだけの映画でした。ちょっとやり過ぎではあったけど残虐性を見せて恐怖心を煽るような演出とか、まあそこまではいいのだけど、いかんせん脚本(ストーリー)が酷過ぎる。
自分が仮にプロデューサーだったらこんな脚本が上がってきたらすぐさま笑顔で全編書き直しを命じるでしょうね。
最初に「これは現実とはかけ離れたただのアニメのようなものです」とでも断ってくれればまだ納得が行くのだけれども、事実から着想を得ましたみたいなことを強調するのがまた嫌だ。
以下、ネタバレになります。

他のレビューを観ると登場人物の内面がうまく書かれてないとかありましたが、それ以前の問題でこれをハリウッドのプロが脳みそ振り絞って書いたかと思うと疑問が湧きまくりの酷いストーリーです。

まず出てくる登場人物は全員アホなのかと。
相手はLA最恐のギャングでそれこそ公権力も屈服するような悪の親玉なわけでしょ。
それを相手にするってことは正体がばれたら当然家族も危険にさらされるわけで、お前らもうちょっと作戦考えろよと。
普通こういうのは緻密な上に更に緻密に作戦を練って、正体をばらさないように解体をするという超難関プロジェクトなわけで、顔も隠さず何の作戦もなくマシンガンの雨の中ただ突っ込んで行くというバカさ加減。最終的に家を一回(だけ)狙われるのだがそりゃそうなるだろと、予測と覚悟くらいしておけよ!となります。

そしてセキュリティー甘甘のギャングのボス。こんなんいつでも殺せるだろ。仲間を殺されて逆上して相手の牙城に突っ込んでいくがたまたま誰もいなくて助かったねというご都合主義といい、もはやギャグの域です。
恋人にはあっさり浮気されているのも気付かず盗聴器は簡単に家にまで侵入されて仕掛けられと、脇が甘すぎて怖さ一切ありません。

そしてクライマックスはコーエンの逮捕令状を遂に手に入れ、コーエンの滞在するホテルへ逮捕に行くというのですが、マシンガンで武装したギャングたちの元へたったの5人くらいで真正面から堂々と乗り込むという最強のおバカ加減。
なんなのこのLA連邦警察は??最悪のギャングを逮捕に行くのにたったの5人て…。逮捕令状取ったってことは遂に連邦・市警をあげて逮捕に乗り出すってことじゃないんですかね。秘密チームって言ってもその時点でもう公じゃないですか。全警察官総動員で成功させるために動く必要のあるレベルの重要作戦でしょこれ?
まあ、結果はギャングの雑魚さといっこうに当たらないマシンガンの性能によって余裕でたったの5人でも勝利を収めるわけですが。
そして銃を向けられて屈服したコーエンがわざわざ手錠をかけろと言っているのに、銃を捨ててのガチンコの殴り合いと、ここまで来るともはや意味不明です。

こんな映画のために名優ショーン・ペンや他の実力ある俳優人をつかったり、誰も疑問はなかったのでしょうか?
「おしい映画だったとか」「悪くはなかった」とかそんな感想が逆に恐ろしくもなるほどカスリもしなかったクソ映画だと思います。違うというならこのストーリーのチープ加減をしっかりと納得いくように説明してほしいものです。

当時の本当の作戦とか、どれほど当時の警官たちが恐怖に怯えながらも正義のために命をかけて働いたかなど、史実をしっかりと検証して、警察とギャングのリアリティーのあるギリギリの攻防を描いた方が絶対に楽しかっただろうと思うと、ただのエンタメ映画のチープな悪役に落とされてしまってこれではミッキー・コーエンという歴史上の超大物も浮かばれないのではないでしょうか。「俺そんなバカじゃないよ」と当時の悪と真剣に命をかけて戦った警官たちも嘆いているのではないかといらん想像をしてしまいます。

ちなみに平日の昼間に映画館で観たのですが観客は私一人でした。
逆にこんな映画をわざわざ映画館まで観に来たバカは私一人だということでしょうか笑
みんな賢明な判断だと思います☆